「風穴(ふうけつ」をご存じでしょうか。どちらかというと、”かざあな”という呼びかたの方が馴染みがありますね。
風穴とは、山腹や谷間などにある冷たい風を吹き出す洞穴のこと。外気温が30℃を超える真夏でも、洞穴の開口部から冷気が出てくるので、空気がひんやりしています。そのため、昔は天然の冷蔵庫として活躍していました。その風穴が小諸市の氷(こおり)地区にあり、冷蔵できる貯蔵庫として現在も活躍しています。
浅間山を望む氷地区にある風穴は「氷風穴(こおりふうけつ)」と呼ばれる、小諸市を代表する観光スポットのひとつです。
Contents
氷風穴の基本情報
・スポット名 | 氷風穴(こおりふうけつ) |
・利用案内 | 風穴 |
・見学時間 | 自由 |
・定休日 | なし |
・住所 | 〒384-0071 小諸市大久保1041 |
・見学料 | 無料 |
・電話番号 | 0267-22-1234 (氷風穴の里保存会@小諸観光交流館内) |
・駐車場 | あり |
・URL | https://fuuketsu.wixsite.com/koori https://www.youtube.com/channel/UC775S-CBcJT-mDeuD1GvkIA |
氷風穴は江戸時代から続く歴史ある天然の冷蔵庫
氷風穴は、車で小諸市街地方面から蓼科小諸線(長県道153号)に入って少し走ると、右手に入口が見えてきます。(あぐりの湯こもろの少し手前)
氷風穴の歴史は古く、江戸時代、元禄年間(1688年~1704年)にさかのぼります。当時の文献に風穴で凍氷を貯蔵し、藩主に献納したとの記録が残っているのだとか。
まだ冷蔵庫がなかった時代、天然氷を池から切り出して、風穴で保存していたんですよね。この氷の切り出しと保存は、昭和60年(1985年)頃まで続いていたそうです。
風穴は氷の貯蔵のほか、明治時代には蚕の卵(蚕種)の冷蔵保存にも利用されていました。蚕(かいこ)といえば、絹糸の生産。世界遺産に登録された、群馬県の富岡製糸場(とみおかせいしじょう)が有名ですよね。
蚕の卵を冷蔵保存したのは、孵化のタイミング調整のためだったそうです。自然孵化は年に1~2回が限界ですが、冷蔵保存により孵化の時期を人為的に調整し、年に5~6回の孵化&飼育が可能になったことで、養蚕業の発展に大きく貢献したといいます。
全国でも有数の蚕種貯蔵で知られた小諸の風穴ですが、1930年代の世界大恐慌による生糸の価格の大暴落、化学繊維の登場、冷蔵庫の普及などの影響によって養蚕業は縮小せざるを得なくなり、氷風穴は昭和7年(1932年)に蚕種貯蔵を中止。その後は農産物、出荷用の花、漬物などを保存する天然の冷蔵庫として利用されてきました。
風穴は年間を通して大きな温度差がなく、夏場でも2〜5℃ほどの低温が保たれます。湿度は高めですが、空気の循環によりカビは発生しないのだとか。長期間、鮮度やクオリティを保ったまま貯蔵できる高性能かつエコな天然冷蔵庫は、まさに先人から受け継いだ知恵ですね。
最盛期は14基稼働していた風穴も、現在は1基のみとなりましたが、現役で活躍していると考えると、本当にスゴイことだと思います。
風穴は、電気いらずのエコな冷蔵庫。
氷風穴は見学自由&無料!体感風穴で冷気を肌で感じられる
氷風穴は見学自由。見学料がかからない無料の観光スポットでもあります。
駐車場が完備されているのもうれしいポイント。県道沿いにある駐車場の看板のすぐ向こう側に車を停められますよ。駐車場は氷風穴の里保存会のみなさんがきれいに整備してくださっています。
駐車場と氷風穴の入口は隣接しています。車を停めたら、大きな案内板の方に向かいましょう。
案内板の目と鼻の先は氷風穴の入口です。
入口は2つあり、分かれ道になっていますが、数分歩くと合流します。
したがって、どちらから進んでも問題ないと思いますが、管理人は向かって右側の道を選びました。案内板の順路がそのように書かれていたからです。
分かれ道の中央には「氷風穴」と書かれた木の看板があります。上の木箱にはパンフレットが入っているので、ぜひ頂きましょう。パンフレットには氷風穴の歴史、見学マップ、風穴の仕組みなどが書かれています。
パンフレットをGETし、右側の道を進むやいなや、カサカサッという音が聞こえました。ちょっとビックリして、音が聞こえた草むらの方に目をやると、なんとトカゲが出迎えてくれました。
あとから思い返してみると、このトカゲは神様のお使いだったのでしょうか。風穴見学をはじめると、とても不思議なできごとがあったので、このあと順番に紹介します。
まずは広場から「第1号風穴」へ!
案内板に書かれていた順路どおりに進んでいくと、「広場」と呼ばれる場所に到着。
入口から見えたもう一方の分かれ道もこの場所に通じています。
広場には、氷風穴の説明が書かれた看板がありました。
氷風穴で見られるのは、第1号風穴、第4号風穴、第5号風穴、第6号風穴。これら氷風穴群は、小諸ふるさと遺産(平成30年度第1期)に認定されています。
広場からは、その中の「第1号風穴」を見ることができます。
第1号風穴は深さ約6m、底の部分は夏場でも2~8℃が保たれているそうです。
もちろん、中には入れませんww
大きさもすごいのですが、石垣もすごい技術だなと思いました。石が緻密に積まれ、ガッチリ組まれています。
この風穴の中で、蚕の卵をどのように貯蔵していたのかと想像すると、興味深いですね。
なお、氷風穴の歴史を詳しく知りたい人は、氷風穴から車で3分ほどの場所にある「氷風穴史料館」を訪れるのもいいかもしれません。こちらも入場無料ですが、毎週金・土・日曜の10時~15時開館、予約制とのことなので、興味のある人は氷風穴の里保存会に問い合わせてください。
見学マップにあるように、第1号風穴のすぐ近くには「第6号風穴」もあります。第1号風穴の前を通って、さらに奥の方に目をやると見えてきますよ。
第6号風穴も中には入れず、上から見下ろす感じです。風穴内には小屋のようなものが建っていました。
こちらの第6号風穴は、うっかりすると見落としてしまうので、ぜひ広場の奥の方までチェックしてくださいね。
氷風穴一帯は木々に囲まれ、自然豊かです。森林浴にもうってつけかもしれません。
体感風穴「第5号風穴」に潜入!風穴霧も見れられた!
広場を出て坂を下っていくと、左手に「氷神社(こおりじんじゃ)」が見えてきます。氷神社は元禄5年(1692年)に建立された、風穴を見守る神様なのだそう。
その氷神社のすぐ下側には「第5号風穴」があります。
5号風穴は体感風穴で、中に入ることが可能。風穴の冷気を肌で感じることができます。
第5号風穴の入口の下の方からは、さっそくヒンヤリとした冷気が伝わってきました。
入口には温度&湿度計がかかっており、この日の外気温は約22℃、湿度は60%ほどを示していました。
外気温がわかったところで、さっそく第5号風穴の中へ。はたして風穴の中は、どのくらいの温度と湿度なのでしょうか。
第5号風穴の中は薄暗く、ヒンヤリしていました。
内部は石垣で囲まれており、上部にはトタン屋根がかぶせられ、小屋のようになっています。
第5号風穴に入った途端、最初の不思議なできごとがありました!
中に入ってすぐに、ザーッとすごい勢いで雨が降ってきたんです。(動画音あり↓↓↓)
まるで、管理人が風穴に入るのを待っていたかのようにザーザーと降る雨。
おかげでずぶ濡れにならずにすみました。
雨の降りっぷりがすごく、風穴小屋の出入口はあっという間にビショビショに。勢いはしばらくおさまらず、中で雨宿りさせてもらうことにしました。
雨が小降りになるのを待っている間に、ふと風穴小屋の外に目をやると、そこにも立派な石垣が!石が本当にきれいに積まれています。
風穴小屋は雨宿りにはありがたかったのですが、時間が経つとさすがに肌寒くなってきました。
それもそのはず、第5号風穴内の温度計は約8℃を示していました。ちなみに湿度は75%ほどだったようです。
外気温との差が14℃もあれば、さすがに冷えますね。
その後も雨はなかなか止まず、体が冷えてきたこともあって、雨足が弱まったところで風穴小屋を出ました。
それにしても、誰かに「まだ行かないで。ここにいて。」と言われているような感じがした不思議なできごとでした。
小屋から出て右手に進むと、あたたかい空気の流れが!体が冷えていたので、とても心地良く感じました。
温度差で霧も発生!慌ててカメラを向けたのですが、こちら確認できますでしょうか↓↓↓
これがいわゆる「風穴霧(ふうけつきり)」なのかなと管理人は思っております。
風穴霧は運が良ければ見られる現象とのこと。降雨の影響もあったのでしょうか。
もしかしたら、管理人にこの霧を見せるために、小屋の中で待たせていたのかもしれません。こういうミエナイチカラは本当に存在すると思いますし、存在すると思うと幸せな気持ちになります。
第5号風穴から坂道を少し下ると第4号風穴があります。
第4号風穴はたった1基、現在も稼働している風穴。お酒や漬物などが貯蔵されており、現役の天然冷蔵庫として活躍中なのだそうです。
ただし、第4号風穴は個人所有のため、残念ながら内部の見学はできません。
中には入れなかったのですが、入口に庇(ひさし)があったので、ちょっと雨宿りさせてもらうことに。
ここでもしばらく雨が止むのを待っていたのですが、止みそうでなかなか止まず。
見学マップの順路どおり、来た道を戻ることにしました。
雨宿りさせていただき、ありがとうございました!
見学コース沿いには風穴を見守る神社が2つ
第4号風穴まで来たら、あとは戻るのみ。
あっという間に第5号風穴、氷神社の脇をとおり、最初に到着した広場まで戻れました。
広場から進行方向に視線を上げると、少し小高くなっているのがわかります。
この上には、氷室稲荷(ひむろいなり)が鎮座。
氷室稲荷は、繁栄を願う養蚕の神様。稲荷神社ということで、商売繁盛、五穀豊穣、家内安全などのご利益がありそうです。
氷室稲荷へと続く参道は上り坂です。
参道の下側はさほどでもないのですが、上に近づくにつれて、勾配がきつくなっていきます。
鳥居のあたりは、かなり急な坂道なので足元に注意しましょう。
氷室稲荷に着いた頃は日差しが戻ってきて、青空も見えてはじめていたのですが、雨は降ったり止んだり。
一礼してから鳥居をくぐり、お社の前に立つと、その途端にパラパラパラッという雨の音がして、再び雨足が強まった感じでした。
ですので、お参りしつつ、庇の下で少し雨をよけさせていただきました。
ところが、お参りが終わるとどうでしょう。雨がすっかり上がって、太陽が顔を見せてくれたではありませんか!
これが氷風穴での2つ目の不思議なできごとでした。
さっきまでの雨がうそのように晴れて、本当にびっくり。
それから管理人は広場前の分かれ道を右手に進み(行きと反対側)、駐車場方面へ向かいました。
それにしても、想像していた以上に印象深い風穴見学となり、本当に驚きでした。
きっと、あのトカゲが導いてくれたのでしょうね。
氷風穴の見学時間は特に決められていないようですが、足元が悪い場所や坂があることを考えると、明るいうちに行った方が良さそうです。
温風穴もチェック!
氷風穴には、「温風穴(おんふうけつ)」と呼ばれる場所もあります。名前から想像できるとおり、温風穴ではあたたかい空気が流れています。
温風穴があるのは、氷風穴の入口付近にお店を構える「ギャラリーてずくな樂」の横。
「風穴」は地下の岩の隙間で冷やされた空気が吹き出す、冷蔵庫のようにヒンヤリした場所。その風穴の上の方にあるのが「温風穴」です。
風穴の温度が夏でも2〜5℃くらいに保たれているのに対し、温風穴の温度は冬でも10℃以上だといいます。
温風穴からはあたたかい空気が吹き出すので、雪が降っても溶けてしまい、周囲は雪景色でも、そこだけぽっかりと雪のない不思議な風景が見られるのだそうです。
温風穴に立ち入ることはできません。雪が降ったときに行くとわかりやすいかもしれませんね。
「氷」の地名の由来となった伝説も興味深い
風穴のある氷(こおり)の集落には、その地名の由来となった伝説が残っています。
真言宗の開祖である空海(くうかい)、後の弘法大師(こうぼうだいし)が、真夏に諸国行脚で村を通りかかった際に、あまりに喉が渇いたので村人に水を求めました。親切な村人が弘法大師に冷たい水を差し上げたところ、喜んだ大師はお礼として「氷と湯のどちらが欲しいか」と、その村人にたずねました。
村人が「氷」を選んだため、大師からは氷室(風穴)を得られました。このことから、地名が「氷」になったのだとか。
なお、残った方の「湯」は大師が投げ捨てました。その場所が現在の「草津の湯」であるという伝説も興味深いです。
アクセスマップ
・スポット名 | 氷風穴(こおりふうけつ) |
・利用案内 | 風穴 |
・見学時間 | 自由 |
・定休日 | なし |
・住所 | 〒384-0071 小諸市大久保1041 |
・見学料 | 無料 |
・電話番号 | 0267-22-1234 (氷風穴の里保存会@小諸観光交流館内) |
・駐車場 | あり |
・URL | https://fuuketsu.wixsite.com/koori https://www.youtube.com/channel/UC775S-CBcJT-mDeuD1GvkIA |
ここの第5号風穴は、一年中一定の温度らしいので、夏にはぜひ涼みに行きたいところです。自分も最近この風穴を訪れました。現地に行って、風穴までの道の手前に来た時に、一度にたくさんの葉っぱが自分の目の前に落ちてきて、びっくりしました。風穴にある神社の神様が歓迎してくれたのかもしれません。みなさんも行ってみたら、神様が歓迎してくれるかもしれませんね。そのあと、道を歩いていき、第5号風穴に着くまでは蚊がたくさん飛んでいました。刺されないように少し急いで第5号風穴までいくと、中に入る前から冷気がただよっていました。いざ中に入ると、すごく涼しい冷気を肌で感じました。そこには蚊は一匹も飛んでいませんでした。風穴小屋に入ると、気温を見たら、なんと約9℃の寒い気温でした。あんな少しの深さでこんなに温度がちがうのかととてもびっくりしました。気になる方はぜひ風穴に来て、冷気を肌で感じてみてください。情報は上の記事を参考にするのがおすすめです。
たらもさん、コメントありがとうございます!
たらもさんも、不思議な体験をされたのですね!!
確かに夏に行くのがいちばん良いかもしれませんww