小諸市のお隣り、御代田町(みよたまち)には、『真楽寺(しんらくじ)』と呼ばれる真言宗智山派(しんごんしゅうちさんは)の寺院があります。587年頃、浅間山(あさまやま)の噴火を鎮めるため、第31代用明天皇(ようめいてんのう)の勅願(ちょくがん)により開山し、前身となる寺院が建立されたのがはじまりです。広い境内には、御代田町指定文化財の「観音堂」や天然記念物の「神代杉」、長野県宝の「三重塔」といった貴重な文化財、龍神伝説発祥の地とされる「大沼の池」など、見どころが多いのが魅力。近隣市町村の小学校の子どもたちが遠足で訪れる場所でもあります。
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浅間山真楽寺(しんらくじ)の基本情報
・名称 | 浅間山真楽寺(あさまやましんらくじ) |
・住所 | 〒389-0201 北佐久郡御代田町塩野142 |
・電話番号 | 0267-32-2056 |
・FAX番号 | 0267-32-2037 |
・駐車場 | あり |
・拝観料 | 無料 |
真楽寺には参道近くに駐車場(無料)が完備されているので、マイカーで訪れてもOKです!
駐車場は一般車用と観光バス用があります。
観光バス用の駐車場から、「参道」と書かれている看板にしたがって進むと、厄除観音堂(やくよけかんのうどう)へと続く階段のすぐそばに出られます。
そのため、近道したい人にはこちらがおすすめ。
ただ、管理人が訪れたときは観光バスがなかったので駐車できましたが、混雑時やトップシーズンは不可かもしれません。
参道に入ると、スッと空気が変わります。とても神聖な雰囲気ですよ。
厄除観音堂と反対側の参道には、御代田町指定の有形文化財「仁王門(におうもん)」があります。
仁王門から拝観したい場合は、階段をのぼらずに、反対側へ進みましょう。
一方、一般車両用駐車場から参道に進むと、太鼓橋(たいこばし)を通って、仁王門の正面に出られます。
通常であれば、こちらから入っていくといいでしょう。
なお、実際の参道の入口は、浅間サンライン(県道80号)の南側を平行に走る道路沿いのようです。
看板下の道路の両端に石柱が立っているのですぐにわかりますよ。
本来なら、参道入口から歩いて向かいたいところですが、参道入口付近では駐車場を探すのが難しそうです。
また、真楽寺の駐車場からもわりと距離がありますが、正式な参拝にこだわりがあれば、こちらの参道入口から歩いてみるのもいいかもしれません。
参道入口から真楽寺の駐車場までの間に「塩野の不動明王」などもあるので、余裕があればぜひ拝観を!
表参道から仁王門を通って厄除観音へ!
参道の太鼓橋の先に見えるのが、御代田町の有形文化財に指定されている「仁王門(におうもん)」です。
“仁王”とも呼ばれる「金剛力士像(こんごうりきしぞう)」が門の左右に安置されています。
金剛力士像は「阿形(あぎょう)」と「吽形(うんぎょう)」の一対で境内を守ります。
それぞれ特徴が異なるので、拝観時にぜひ見比べてみてくださいね。
仁王門をくぐると、六地蔵(ろくじぞう)が見守る参道が続きます。
そのまま進むと、観音堂(厄除観音)へと続く階段下へ。
ちなみに、仁王門を背にして右手に見えるのが、龍神伝説ゆかりの「大沼の池(おおぬまのいけ)」です。
透明度が高く、あまりにもきれいなので、不思議と引き寄せられますよ!
管理人は、行き帰りの両方、大沼の池に立ち寄って、いろいろな角度から眺めてきました。
大沼の池については、後の見出しで詳しく紹介します。
参道両脇の杉並木もとっても良い雰囲気です!
広い境内には見どころ満載!観音堂・逆さ梅・鐘楼・大本堂・書院ほか
石段を上がっていくと、ずっと正面に見えていた「観音堂(かんのんどう)」の前に出ます。
別名「厄除観音(やくよけかんのん)」とも呼ばれる建造物は、仁王門と同じく、御代田町指定の有形文化財に指定されています。
中に安置されているのは「本尊聖観世音菩薩(ほんぞんひじりかんぜおんぼさつ)」です。
観音堂の内部には自由に入って拝観できます。
観音堂を正面に、左手の方には、「牛頭観音(ごずかんのん)」「頼朝公の逆さ梅」「鐘楼(しょうろう)」などが続きます。
「頼朝公の逆さ梅」は、鎌倉幕府初代将軍である源頼朝(みなもとのよりとも)が真楽寺を訪れた際に、地面に突き刺した梅の杖を地面に突き刺し、そのまま根づいたとされるもの。
さらに奥には、「大本堂(だいほんどう)」「弁慶の腰掛けの松」「書院」などもあり、見どころが満載です。
真楽寺の境内は想像よりも広く、見ごたえがあります!
樹齢千余年!町指定の天然記念物「神代杉(じんだいすぎ)」
観音堂を正面に右手に進む、あるいは、大本堂側から見て観音堂の左手には、御代田町指定の天然記念物「神代杉(じんだいすぎ)」がそびえたっています。
樹齢は推定千年あまり、幹周囲は10m、樹高は約15mあるそうです。
幹下部の空洞内には、蓮華(れんげ)を手にした石造菩薩坐像が安置されています。
空洞をよく見ると、中は黒焦げ。
これは、江戸時代の文化13年(1816年)の火災が原因なのだとか。
この歴史ある、貴重な巨木をさまざまな角度から眺めてみてくださいね。
神代杉のすぐ近くに「三重塔」があります。
長野県下で最も背が高い!県宝「三重塔」内部には大日如来像が鎮座
神代杉のすぐそばで、ひと際目を引くのが長野県宝「三重塔(さんじゅうのとう)」です。
高さは約20.8m。
長野県内にある11基の三重塔の中で最も背が高いとされています。
なお、長野県内の11基のうち、佐久地方に残されている三重の塔は3基。
真楽寺のほかには、佐久市の新海三社神社(しんかいさんしゃじんじゃ)、および貞祥寺(ていしょうじ)で拝観できます。
真楽寺の三重塔は、江戸時代の1613年に1度焼失し、1751年に再建されたもの。
内部には大日如来像(だいにちにょらいぞう)が安置されているそうです。
下層部分は周回も可能。4つの各面上部には、タンポポ、龍、オオバコ、麒麟(きりん)の彫刻がほどこされているので、ぜひチェックしてくださいね。
三重塔も歴史を感じる貴重な文化財です!
境内には健御名方命を祀る「水分神社(みずわけじんじゃ)」も!
三重塔の近くには、「水分神社(みずわけじんじゃ)」があります。
水分神社の御祭神は健御名方命(たけみなかたのみこと)と呼ばれる、日本神話に登場する神さまです。
“因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)”伝説で知られる大国主命(おおくにぬしのみこと)の御子神で、諏訪大社(すわたいしゃ)の御祭神(諏訪大明神)でもあります。
建御名方神、御名方富命神、建御名方富命、健御名方富命、たけみなかた、たけみなかたとみ、などさまざまな表記と呼び方があり、五穀豊穣、子孫繁栄、交通安全、武運長久などの御利益を得られます。
真楽寺を訪れたら、ぜひ水分神社も参拝しましょう。
観音堂と三重塔の間に位置する階段は「金比羅さん」へと続いている
境内を歩いていると、観音堂と三重塔の間に階段があることに気がつきます。
この石段も、もちろん上ってOK!
階段を進んだその先には、、、
「金比羅さん(こんぴらさん)」があります。
”金比羅”とは、もともとはインドの守護神で、航海の安全祈願、五穀豊穣、商売繁盛などに御利益のある神さまです。金比羅さんを祀る神社の中では、香川県の金刀比羅宮(ことひらぐう)が特に有名。
ちなみに、金毘羅さんには、先ほど紹介した水分神社からもアクセスが可能。
水分神社の建物には入らず、手前を左の方に進むと金毘羅さんに出られます。
そうそう、金毘羅さんに上がる階段の石垣で、ニホントカゲの幼体に遭遇しました!
ニホントカゲの幼体は、”ニジイロトカゲ”と呼ばれることもあり、その名前のとおり、頭部は赤く、下部に向かってグラデーションするような配色。あざやかなブルーのしっぽは、とってもきれいです。
写真を撮っているときは気がつかなかったのですが、石垣のすき間に、ニホントカゲの成体の姿も!
この幼体の親だったのかもしれませんね。
トカゲは神さまの使いや龍神さまの化身などといわれるスピリチュアルな存在。神社仏閣で遭遇すると、とても縁起が良いそうです!
龍神伝説発祥の地「大沼の池」は”信州の名水・秘水”に選定されている
行きは仁王門の右手、観音堂からは左手に見下ろせる場所に位置するのが「大沼の池(おおぬまのいけ)」です。
観音堂前の階段を下り、参道から左に目をやると、木々の間から見える池の姿がなんとも神秘的です。
バツグンの透明度を誇る大沼の池は、浅間山の伏流水(ふくりゅうすい)によって形成された湧き水で、”信州の名水・秘水”の1つに選定されています。
池の底が見えるほどきれいなのですが、飲用は不可。
また、池への立ち入りも禁止されていますので、注意しましょう。
大沼の池の一角には、龍神さまの姿も。
それもそのはず、大沼の池は、諏訪大社(すわたいしゃ)の御祭神・諏訪明神(すわみょうじん)とされる”甲賀三郎(こうがさぶろう)”出現の伝説が残る場所なのです。
諸説ありますが、近江の国(現在の滋賀県)に住んでいた甲賀三郎は、自分のことを抹殺しようとする兄2人から逃れ、長野県にある蓼科山(たてしなやま)の麓にたどり着いたといいます。
しかし、兄たちにだまされ、深い穴の中に落とされてしまいました。
なんとか地上に出ようと、横穴を発見した三郎は、どんどん歩みを進めます。遂に明るい光が見え、出られた場所こそが大沼の池だったのです。
ようやく深い穴の中から脱出できた三郎でしたが、その姿はいつのまにか蛇体(龍)に変わっていました。
龍として大沼の池にしばらく住んでいた三郎の体はどんどん大きくなり、池が手狭になったため、最終的に諏訪湖へと移動。
以後、諏訪明神として諏訪湖の湖底に鎮座していると伝わります。
ちなみに、諏訪湖には”御神渡り(おみわたり)”と呼ばれる自然現象があります。極寒の時期に全面結氷した湖の一部がせり上がり、一筋の道のように見える現象です。
諏訪地域において、この御神渡りは、諏訪大社上社(すわたいしゃかみしゃ)に祀られている男神さまが、下社(しもしゃ)の女神さまに会いに行くため、湖を渡ったときにできた足跡と言い伝えられています。
一方、龍に姿を変えた甲賀三郎が、諏訪湖の底で寝返りをうったためにできるのが御神渡りというのが大沼の池伝説です。
さて、大沼の池に鎮座する、こちらの龍神さま。
遠くから見たときは気がつかなかったのですが、頭の上には、水晶がのっていました。
さらに、その水晶の中にも龍神さまの姿が!
ぜひ近くでチェックしてくださいね。
なお、大沼の池からは、高台の神代杉を木々の間から仰ぎ見ることもできます。
ちょっと振り返って、違う角度からも神代杉を観察してみましょう!
大沼の池も、真楽寺を訪れたら必ずチェックしておきたいスポットです!
総丈20m!青銅製の「子育地蔵」
境内西側の小高い丘の上には、「子育地蔵(こそだてじぞう)」が鎮座しています。
総丈(高さ)は約20m。日本一大きい子育地蔵とされています。
子育地蔵には、恵光殿と本坊(札所)の間にある道を南下し、右手に進むとアクセスできます。
子育地蔵の姿は外からは確認できないのですが、鎮座する丘へと続く階段を上っていくと見えてきますよ。
お地蔵さまの足元にはたくさんの小さな子どもたちの姿がありました。
よく見ると、お地蔵さまの左手にも子どもが乗っています。
台座の前にはお線香の自販機や大きな香炉(こうろ)も。
希望があれば、お地蔵さまにお線香を手向けることもできます。
お線香の自販機を見ていたら、ここにもニホントカゲの幼体が!
やはり龍神さまのお使いなのでしょうか。2度も遭遇してびっくりでした。
お地蔵さまの周囲は広く、散策にもぴったり。
北側には、無数の小さなお地蔵さまも安置されています。
管理人が訪れたときは、まだ桜が少し残っていて、なかなかの景色でした。
満開のときは、さぞかし華やかなのでしょうね。
子育地蔵は、観光バス用駐車場からも直接アクセスすることも可能。その場合、表参道方面には進まず、反対側の道を北上し、左手に進みましょう。
札所では「御朱印」を頂ける
佐久三十三観音霊場の第4番札所でもある真楽寺。
境内には札所があり、御朱印(ごしゅいん)を頂けます。
1体300円なので、参拝の記念にぜひ頂きましょう!
札所は、書院横の本坊の入口にあります。
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・名称 | 浅間山真楽寺(あさまやましんらくじ) |
・住所 | 〒389-0201 北佐久郡御代田町塩野142 |
・電話番号 | 0267-32-2056 |
・FAX番号 | 0267-32-2037 |
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