小諸城址懐古園のある長野県小諸市には、国や県指定の重要文化財が数多くあります。『布引観音(ぬのびきかんのん)/天台宗布引山釈尊寺(しゃくそんじ)』にある「観音堂宮殿(かんのんどうくうでん)」もそのひとつ。断崖絶壁に堂々と立つ姿は圧巻です。ここは“牛にひかれて善光寺(ぜんこうじ)参り”の舞台となったお寺であり、信濃三十三観音霊場の第29番札所にもあたります。天気が良ければ浅間山を望む、見晴らしの良いロケーションです。
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布引観音(ぬのびきかんのん)/天台宗布引山釈尊寺(しゃくそんじ)の基本情報
・名称 | 布引観音(ぬのびきかんのん)/天台宗布引山釈尊寺(しゃくそんじ) |
・住所 | 〒384-0071 小諸市大久保2250 |
・駐車場 | あり |
・拝観料 | 無料 |
・参考サイト | 小諸市観光協会 小諸市教育委員会事務局文化財・生涯学習課 |
プチ修行ができる!駐車場から参道を登るのがおすすめ!徒歩15~20分
『布引観音(ぬのびきかんのん)』の名前で親しまれる小諸市のお寺は、正式名称を『天台宗布引山釈尊寺(しゃくそんじ)』といいます。
山中にあるので、本堂に行ってお参りするには山道を登るスタイル。参道の入口からは徒歩15~20分程度といったところでしょうか。
そのくらいなら余裕♪と思いますよね。道も整備されて歩きやすいのですが、ワリと険しめの登りなので、プチ修行の気分が味わえるといいますか、、、良い運動になりますよ。
参道の入口は、千曲川(ちくまがわ)沿いを走る長野県道40号(諏訪白樺湖小諸線/こぶし街道)から入った、布引観音参拝駐車場に隣接。
駐車場は小諸駅から車で10分ほどの場所に位置します。
布引大橋のあたりから500~600m進んだところにありますが、うっかりしていると駐車場を通り過ぎることがあるので注意しましょう。
なお、駐車場は無料で利用できます!
駐車場内にトイレが完備されているので、参拝前に済ませておくといいですよ。
参道の入口には、釈尊寺についての説明が書かれた看板が立っています。
ここを過ぎると、いよいよ登り開始です!
管理人が訪れたのは晩秋の頃。
布引観音に行くのは2回目でしたが、参道を歩いたのは初めてでした。
1回目は参道を歩かずにたどり着いたという(笑)驚きのエピソードは後ほど♪
途中、お地蔵さまがいたり、水が流れる風景があったり、似たような景色の中にも変化があって、なかなかの道のりです。
参道の途中途中にあるお地蔵さまのまわりには、たくさんの石が積んである様子が見られました。
このような”積石”は、お地蔵さまのまわりだけでなく、参道のあちらこちらで見られます。
山道のほか、神社などでも見かける”積石”は、石の信仰にルーツがあり、神さまを祀ることを目的にしているからなのだとか。
また、あの世へと旅立った魂を静める、追悼の意味で積石をする習俗もあるのだそうです。
誰が積み上げたのか定かではありませんが、、、ちょっと神秘的な雰囲気がありますよ。
写真を撮りながら、のんびり15分ほど歩いたところで、”善光寺穴”という場所を発見!
なんと、この穴は、長野市にある善光寺まで通じているとの言い伝えがあるそうです。
一緒に行った管理人の息子(小学2年生)が、試しに中へ入ってみると、、、
真っ暗でした!!
スマートフォンのライトを頼りに、数メートル進んだようでしたが、中がせまく、あまり思ったようには動けなかったようです。
善光寺まで続いているというのは言い伝えなのか、はたまた本当なのか!?
想像するだけでもちょっとワクワクしてしまいます。
この辺りまでくれば、本堂まではあともう少し。
ひたすら上を目指して登りましょう。
右手に↑の山門が見えてきたら、ゴールは近いですよ~。
上に近づくにつれて、だんだんとお寺の建物が見えてきます。
階段を登りきった先にある石柱の間を通ると、お寺の境内です。
石柱の先に見える建物は寺務所で、お守りなどを購入できます。
管理人が布引観音を初めて訪れたときはイマイチ場所がわからず、参道の入口に行くつもりで、スマホのナビを頼りに車で向かったのです。でも、参道の入口には案内してもらえず、もちろん参道には乗り入れられず、お寺の裏口に車でたどり着いてしまいました。。。車で行くルートは道が細く、対向車とすれ違うのは不可。路面もガタガタしているので、車で直行するのはあまりオススメしません。ぜひぜひ自然を満喫できる参道からアクセスしてください♪
断崖絶壁にかかる国指定の重要有形文化財「釈尊寺観音堂宮殿」は歴史ある建築物
境内を進むと見えてくるのが、断崖絶壁に建つ国指定の重要有形文化財「釈尊寺観音堂宮殿(しゃくそんじかんのんどうくうでん)」と観音さまの像です。
天気が良ければ、浅間山も見渡せます。
「釈尊寺観音堂宮殿」は、昭和11年(1936年)9月18日に”国宝”、昭和24年(1949年)5月30日に”国重要文化財”にそれぞれ指定されています。
険しい崖にかかるように建つ「釈尊寺観音堂宮殿」は、”懸崖造り(けんがいづくり)”と呼ばれる建築様式が特徴。
険しい崖や山の斜面にかかるように建てられたもので、同じ様式では、京都の清水寺(きよみずでら)本堂や、鳥取の三徳山三佛寺奥院投入堂(みとくさんさんぶつじおくのいんなげいれどう)などが有名です。
「釈尊寺観音堂宮殿」は遠くから眺めるのもいいですが、中に入れるので、近くまで行ってみるのがオススメ。拝観料が無料なのもうれしいポイントです。
「釈尊寺観音堂宮殿」に行くときは、そのまま建物の方向に向かって進むだけでOK。
途中にある建築物や石像なども眺めて楽しみましょう。
道を進んで行くと、左手に”仁王門(におうもん)”があります。
崖の中に埋まるように建っているのが印象的。
岩のトンネル、六地蔵、珍しい狛犬など。
「釈尊寺観音堂宮殿」にたどり着くまでにも、見どころがたくさんあります。
そうこうしているうちに、あっという間に宮殿に到着しますよ!
建物にほどこされた装飾も、見事な芸術品です。
ぜひ隅々までよく眺めてくださいね!
宮殿の奥にはお賽銭箱が設置してあり、安置されている観音さまにお参りできます。
ついつい建築物に夢中になってしまうのですが、宮殿の中から見える外の景色も楽しんでくださいね!
“牛にひかれて善光寺参り”伝説の舞台!善光寺まで続く穴も!?
“牛にひかれて善光寺参り”のことわざをご存じですか?
思いがけないことや、ほかの人からの誘いなどがきっかけで、偶然に良い方向に導かれることのたとえで使われるフレーズです。
なんと!布引観音は、このことわざが生まれた伝説の舞台になっているんです。”善光寺穴”があるのもちょっと納得ですね。
その伝説は、強欲で信心のない老婆が川でさらしていた布を、突然現れた牛が角に引っ掛けて走り出し、それを追いかけた老婆が善光寺にたどり着いたというもの。以後、老婆は心を入れ替え、善光寺を厚く信仰したのだとか。
その老婆を善光寺まで連れて行ったのが、牛に化身した布引観音さまだったというわけです。
「釈尊寺観音堂宮殿」には布引観音さまが安置されているので、ぜひお参りしましょう。
なお、布引観音参拝駐車場に、伝説について書かれた看板があるので、興味のある人はぜひ目を通してください。
信濃三十三観音霊場の第29番札所!御朱印も頂ける
釈尊寺は、僧侶の最高位”大僧正(だいそうじょう)”であり、奈良の大仏さま(東大寺)造立にかかわった僧侶、「行基(ぎょうき/ぎょうぎ)」が創建したと伝えられています。
信濃(しなの)三十三観音霊場の第29番札所でもあるので、札所巡りや観音巡礼に興味がある人は、ぜひ足を運んでみてください。
寺務所では、手書きの御朱印(1体300円)も受けられます。
この日、御朱印帳を持参するのをうっかり忘れてしまい、書置き(紙)の御朱印を頂きました。
御朱印帳にも手書きしてもらえるので、持っている人はぜひ直書きして頂きましょう。
なお、お参りの前に御朱印をお願いしておいて、帰る頃までに用意してもらうことも可能。時間を有効に使いたい人にオススメです。
寺務所ではお守りなども販売されています。
帰りは、来た道を元に戻るのみ。
行きとはまた違った景色が見られたり、見逃した風景を発見できたり、2度楽しめますよ。
アクセスマップ
・名称 | 布引観音(ぬのびきかんのん)/天台宗布引山釈尊寺(しゃくそんじ) |
・住所 | 〒384-0071 小諸市大久保2250 |
・駐車場 | あり |
・拝観料 | 無料 |
・参考サイト | 小諸市観光協会 小諸市教育委員会事務局文化財・生涯学習課 |